ジャズに魅せられ、ミュージシャンを知り、ますます意欲が湧き、歴史を学び、その深みを知り、こうして気がついたのは、演奏してみたいという自分自身の思いでした。当然の流れなのですが、でもこの歳になって・・・なんて気恥ずかしい気持ちもなくはありませんが。
妻の留守の間に私は物置に潜り込み、すっかりホコリをかぶったアコースティックギターを探し出しました。そう、だって私、以前はバンドを組んでいたのですから。ギターの演奏は、それほど上手いとも言えませんが、基本はおさえているつもりです。買って来た本に載っていた楽曲を弾いてみました。弾けませんでした。音符を目で追えなくなっていました。指が痛くなりました。そして、指の関節がつってしまいました。これが衰えというものなのだろうか・・・
指がつろうが、肩が凝ろうが、体が感覚を憶えています。目を閉じれば出来るはず、という思いでなんとか一小節だけ弾きました。そして間違えた箇所を繰り返し練習。若い時を思い出します。
しかし妻から苦情が来ました。ペットの猫も私に近寄りません。
どうも自宅で練習するのは限界があるようです。私の奏でるメロディー、妻が聴いたら若かりし頃の心を取り戻すと思ったのですが・・・かと言って河原や公園で弾くのも、それこそ気が引けますし・・・
そこで再び、友人を誘ってあのジャズ喫茶に行きました。
その日はちょうど他に誰もお客さんがおらず、マスターと友人と私の三人だけで音楽話が盛り上がりました。マスターも同世代で、やっぱりビートルズは大好きだそう。気が合います。そこで勇気を出して告白しました。実は自分もジャズを演奏したいということを。さらに、遠い昔のギター演奏経験はあるものの、すっかり腕が錆び付いていること。自宅ではどうも練習できないこと。スタジオを借りるなんて億劫だし、どこで練習したらいいものか、正直に聞いてみました。
マスターの答えは、あっさりしたもので「学校に行けば?」でした。
学校!?この歳で!?とも思いましたが、それはたしかに名案かもしれない。というのは、定年前に立てていた計画には、何か勉強をしたい、というものもあったからです。受験勉強をして東大に入り直すなんて夢を口にしかけたこともありましたが、口に出さなくて正解だったと今は思っています。そうか、楽器演奏が習える学校か・・・